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海老原玲子税理士

東京RS税理士法人
 海老原会計事務所

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相続・アラカルト

実親の面倒を一人で見てきました。他の兄弟よりも、多くの相続財産をもらえますか?

高齢化社会となり、核家族が中心の現代では、親が老後を迎えると介護が大きな問題となります。

介護に当たる家族の苦労は並大抵のものではありません。実際に世話をされている方とそれ以外の兄弟とでは、負担感は全く異なります。介護した者にとっては、自分の生活を犠牲にして、四六時中気になり、精神的苦労は相当なものです。あれだけ介護したのだから当然財産は多くもらえると思うでしょう。生前には、よろしくお願いしますと言っていた他の兄弟も、いざ、相続財産を目の前にすると、入院させっぱなしだったじゃないとか、親のお金を使ってとか、面倒みていたとはおもえないなどと、批判してくる場合もあります。療養看護の寄与分においては、相続人の一人は被相続人のために懸命に看護したのに、何もやっていない他の相続人が同じように法定相続分を取得することが許されるのかということが問題の根源にあります。分割協議の際に、親の介護の寄与分の話はよく出てきます。

寄与分って何?どんな場合に認められるのでしょうか?

被相続人の財産の維持または増加について特別に協力した者には、寄与分として相続財産に持ち分が認められます。特別な寄与ですから、通常期待されているよりも、特別に貢献していることが条件です。寄与にはどのようなものがあるでしょうか。

  1. 家事従事 (例)長男が父の家業に他の従業員よりも安い給料で長年従事した
  2. 金銭出資 (例)父の事業のために相当な資金を提供した
    父の家の新築費用をだした
  3. 療養看護 (例)認知症の親を長年同居にて看護した
  4. 扶養   (例)父親を引き取り、全面的に面倒を見た
  5. 財産管理 (例)子が父所有のアパートの清掃や毎月の賃料の受け取りを代行し、維持管理した

などがあります。

療養看護について述べてみましょう。

親族間の助け合い、扶養義務がありますので、単に親と同居して面倒を見た、病気療養中の世話をした、他の兄弟が見向きもしない為入院の手続き、お見舞い等をしたというような通常の看護、介護では寄与分が認められないこともあります。特別な寄与ですから無報酬またはこれに近い状態で療養看護を行った場合です。例えば、普通付添人を雇うべきところを相続人が付き添って看病したために出費を免れた、自分のお金で親の医療費を負担したとかが財産の流出を防ぎ、親の財産の維持に貢献したと考えられます。

寄与分の評価については相続人間の話し合いで決めます。寄与分を金額に換算するといくらになるかはとても難しく、分割協議でもめた場合には、介護をした者にとっては思っていたよりあまりに少ない金額になり、報われない思いになることもあります。また、逆に、親のお金で生活していたなどと生前贈与に取られることもあります。介護や医療看護にかかる費用は、出費した日付と項目と金額など全て記録しておきましょう。心身の状況、療養看護の継続期間、拘束された時間、生活費の負担内容など介護日記を残すことにより、他の兄弟に寄与分を認められる客観的な資料となるでしょう。

話し合いがつかない場合は、遺産分割と寄与分の申立てを家庭裁判所に請求することになります。争いになってしまうと、兄弟間にしこりが残り、介護してきた者にとっては、苦労が報われず、大変つらい結果になってしまいます。

介護の感謝の気持ちは遺言で

介護は肉体的にも精神的にも非常につらい仕事です。介護と相続は切り離しては考えられなくなってきています。例えば実際に介護を担うのは嫁ということが多いでしょう。嫁は相続人ではないので、遺言書の中に遺産の一部を遺贈するようにしておけば、介護に対して報いてあげることができます。寄与してくれた家族がいる場合には、遺言書を書いて将来もめないようにしておきましょう。

介護を受ける親は、感謝といたわりの気持ちを相続で伝えてあげることが大切です。