相続税
相続税とは
相続税とは、ある人が亡くなった場合に、被相続人の財産を相続、遺贈等によって相続人が取得した時にかかる税金のことです。
○相続税の申告
相続税は、「相続開始を知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内」に、被相続人の住所の所轄税務署に申告書を提出し、納付します。
この期限内に申告、納付しないと、「加算税・滞納税」の対象になります。
遺産分割は時間がかかりますが、法律では10ヶ月までと期限が定められていますから、遺産分割が治まらないので相続税が払えないなどといった事情は考慮されません。
もしこの期限内に遺産分割がまとまらなかった場合は、未分割のまま法定相続分で相続したとして申告、納税し、後日、改めて申告することが可能です。
遺産分割が確定後(申告期限から3年以内)、相続税を払いすぎている場合などは、「更正の請求」をして税金を返還してもらうこともできます。
反対に、納付した相続税が少なかった場合は「修正申告」をして追加納税します。
対象となる財産
相続人は、被相続人の資産も負債もすべて相続できますが、財産には相続の対象にならないものもあります。
相続財産となるものは、被相続人の財産に属した一切の権利義務が対象となります。
○相続財産
・土地、建物など不動産の所有権
・動産(家財道具、自動車、貴金属、現金、預貯金など)の所有権
・債権(土地建物の賃借権、賃金、賃借債権、売掛金、株式など)
・無体財産権(特許権、商標権、意匠権、著作権など)
・契約上の地位
・債務(借金、未払金、買掛金、損害賠償の支払いなど)
○相続財産の対象とならないもの
・身元保証など保証額に期間や制限のない保証債務
・死亡退職金
・香典
「相続財産の対象とならないもの」でも、経済的効果が認められるもの(死亡退職金など)は、「みなし財産」として相続税が課せられます。
非課税の相続財産
非課税相続財産とは、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その性質等が社会的見地、人間感情等の側面から、課税の対象とするのは適当でないと認められるため、課税対象から除かれるものをいいます。 具体的には次の7種類のものがあげられます。
・墓地、墓石、仏壇、仏具、神棚、香典
・国、地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産
・生命保険金の内「500万円×法定相続人の数」に相当する金額
・死亡退職金の内「500万円×法定相続人の数」に相当する金額
・業務上の死亡で支給された弔慰金(死亡当時の月々の給料の3年分まで)
・業務外の死亡で支給された弔慰金(死亡当時の月々の給料の半年分まで)
・皇室経済法の規定により皇位とともに皇嗣が受けたもの
・心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
・国等に寄附した財産(申告期限までに国・地方公共団体・公益法人に寄附した財産、又は特定の公益信託とした財産)
相続税の対象となる贈与
相続開始の3年以内前に被相続人から贈与された財産は、贈与当時の価額が相続税の課税対象になります(生前贈与加算制度)。
この制度は相続や遺贈で財産を取得した人を対象としたものです。例えば「孫」に贈与した場合、孫は法定相続人ではありませんから、相続開始3年前の贈与であっても相続税の課税対象にはなりません(ただし孫に遺贈した場合は相続税の課税対象になります)。