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海老原玲子税理士

東京RS税理士法人
 海老原会計事務所

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相続・アラカルト

遺産分割でもめてしまった場合の解決方法を教えてください

隣のうち、なんか相続争いで裁判になっているみたいなんて話が聞こえてきます。
相続財産をめぐる争いは年々増加傾向にあります。「うちの子に限って…」というのは、相続財産の争いにおいては通用しません。

遺産をめぐって親族の間で欲望がぶつかり合い、相続が「争族」に代わってしまうことも珍しくはありません。核家族化や少子高齢化が進み、家族の構成や意識が大きく変化し、相続人の権利意識も高まってきています。昔に比べて争いの要因は増えています。

亡くなった後、初七日法要、四十九日法要と法事はみなさん分かりますが、いざ相続が起きると法律あるいは相続税などどうしていいかわからない方がいらっしゃいます。

相続というのは、亡くなった方が所有していた財産を引き継ぐことです。受け継ぐ人(「相続人」という)か1人であれば、そのまま引き継がれますので、問題は生じません。相続人が2人以上複数になると、共同相続という形で相続され、残された遺産は各相続人の共有になります。

遺言書があれば、分割は決まっていますから、被相続人の意思を反映した遺言書に記載されているとおり財産を分割していくことになります。

遺言書がない場合には、相続人同士で協議をして決めなければなりません。財産を正確に把握し、相続人全員で財産を分割する話し合いを「遺産分割協議」と言います。相続人の仲が良く、スムーズに話し合いができるケースが大半ですが、なかにはこの話し合いがこじれてしまうこともしばしばです。

1. どんな場合にもめてしまうのでしょうか?大きく分けて3つ考えられます。

  1. 思わぬ相続人が表れるケースです。

    近年、家族関係が複雑になってきています。亡くなって戸籍謄本を取り寄せたら、再婚であって、前妻との間に子供がいたなんて事があります。連れ子がいたり、または、独身か、結婚していても子供がいない場合など思いがけない人に相続権があったりします。また、被相続人が高齢化して、代襲相続などで名前も知らないような人が相続人になってしまう場合など、分割協議が出来ないケースもあります。

  2. 財産の分け方でもめるケースです。

    被相続人が死亡時に所有していた財産を各相続人の単独所有にするなど、個々の相続財産の権利者を確定するのが遺産分割協議です。
    最もトラブルになりやすいのが、この遺産の範囲と分け方です。財産が不動産ばかりで、分けようがないとか、相続税評価が同じでも資産価値が違うとか、平等に分けるのが大変困難な場合があります。また、特定の子供だけ生前贈与していたとか、介護の寄与分を考えてもらえない等、親族間の紛争がゆえに、感情的な対立が起きやすく、収拾がつかなくなってしまうケースも珍しくありません。

  3. 遺言をめぐるトラブルです。

    遺言書を残せば、相続をめぐるトラブルの大半は防げます。
    ところが、遺言書そのものが無効であるとか、相続人の権利侵害、遺留分の侵害、記載漏れ等、紛争の火種になっているケースもあります。
    もめない相続のためには、遺言書をお勧めしますが、是非専門家にアドバイスをもらうことをお勧めします。

    (去年の出版125ページのグラフ)

2. もめてしまったらどうしたらいいのでしょうか?

相続人間で分割協議がまとまらないとき、あるいは分割協議自体が出来ないときは、家庭裁判所の遺産分割の調停または審判の手続きを利用することができ、解決してもらうことになります。

  1. 遺産分割調停

    相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人を相手方として申し立てるものです。調停は相手方の住所地の家庭裁判所に申立てます。

    調停分割の手続きは、家事審判官1名と調停委員男女1名ずつで組織される調停委員会が、当事者双方から事情を聞いたり、必要に応じて資料等を提出してもらったり、遺産について鑑定を行うなどして事情を把握していきます。そのうえで、各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているかの意向を聴取し、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をし、合意を目指して話し合いが進められます。

    遺産分割調停の流れですが、だれが(相続人の範囲)、何を(遺産の範囲)、どのような割合で(指定相続分、法定相続分を特別受益・寄与分で修正して算出した具体的相続分)どのように分けるか(分割方法)という手順により進めます。
     調停は双方に譲歩を求め、お互いに納得することができるよう適切な解決を、話し合いで合意を目指します。

    1. 調停で合意ができたとき

      合意が成立すると、調停調書が作成されます。この調停調書は判決と同等の効力を持つことになり、これに基づき不動産の登記や強制執行ができるようになります。

    2. 調停で合意できなかったとき

      調停が不成立になった場合には、審判手続に移行します。

    3. 調停の取下げ

      遺言書の効力、遺産の範囲等について訴訟が提起させた場合等取下げを促します。

  2. 審判分割

    遺産分割調停で合意できない場合に、審判手続きに移行します。
    最初から審判の申立を行うこともできますが、裁判所から調停に付される事も多くあります。

    家事審判官(裁判官)がほぼ単独で、非公開で行われます。
    話し合いではなく、職権で事実の調査及び証拠調べを行い当事者の希望なども考慮の上、分割の審判が下されます。

    裁判所での審理期間は、6か月以上を超えるものが半数以上、3年以上かかる場合もあります。相続税の申告期限は相続開始日から10カ月ですので、もめている場合の相続税の申告はどうしたらよいのでしょうか?

3. 相続税申告はどうしたらよいのでしょうか?

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に被相続人の住所地を所轄する税務署に行うことになっています。

相続税の申告期限までに遺産分割が行われていないと、遺産は未分割の状態です。
分割されていないということで期限が延びることはありません。そのため、遺産分割協議が成立していないときは、各相続人は法定相続分によって相続されたものとして、相続税を計算します。そして、仮に算出された相続税の申告と納税をします。このように仮の申告をしておき、実際に遺産分割が成立したら、改めて、税務署に修正申告または更正の請求をする事が出来ます。

相続税の申告期限までに遺産分割が出来ない場合、相続税法上の次のようなデメリットがあります。

  1. 配偶者に対する相続税額の軽減が受けられない。

    配偶者は法定相続分か1億6,000万円のどちらか、大きい額まで相続税はかかりません。しかし、遺産の全部または一部が未分割の場合は、その分割されていない遺産部分については適用されません。

  2. 小規模宅地等の評価減が使えない

    小規模宅地等の評価減の規定では、遺産のうち居住用や事業用のものは、各一定の面積について評価額が通常の20~50%になります。しかし、未分割の場合はその評価減を使うことができません。

  3. 物納が出来ない

    未分割の遺産は、相続人全員の共有財産となるため、物納を申請する場合には、その共有者全員が申請する必要があります。

  4. 農地等の納税猶予が受けられない

    納税猶予の適用を受けるためには、その納税猶予の対象となる農地等が申告期限までに分割されている事が必要です。

これらのメリットが受けられないということは、当然に相続税が割高になったり、納付する税額が多額になります。ただし3年以内に遺産分割協議がまとまれば、上記(1)(2)の優遇処置は使えます。未分割状態で、申告期限までに申告書を提出する際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に提出します。この分割見込書を提出しておくと、申告期限から3年以内に分割された場合には、その分割された日から4カ月以内に更正の請求を行うことにより、上記(1)(2)の優遇処置が適用されるようになります。仮に払った納税額が過大であった場合には、還付されます。

未分割では配偶者控除は使えませんので、全財産が未分割であると、相続税を納税する必要がない配偶者もいったん税金を払うことになります。その後3年以内に分割が整えば配偶者控除は使えることになり、払った税金は戻ってきます。ただし、最初の相続税の申告の時に書類を出しておかないといけないということです。